花形装飾活字を愛でる第15回「装飾書体」

J. Laugier, Modèles graphiques d’alphabets industriels modernes

装飾活字にはフォントそのものに装飾されているパターンがあります。いわゆる判読性などのフォントのルールは必要最低限にまで落としてしまって、見た目重視の状態のものです。この装飾書体と言われるものにも、長い歴史があるので、それなりのルールがあるでしょうけど、そこらへんは一旦置いといて、彩られたフォントはとても印象的ですし、美しくもあります。

装飾書体は、それがリリースされた国や文化や歴史が大きく反映されます。「LIGHTHOUSE TYPE FOUNDRY」でフォント化されているJ. Laugier, Modèles graphiques d’alphabets industriels modernesは1890年にパリで出版されました。どうやらこの本は印刷所の見本帳としてではなく、図書館の資料として出版された本にあたるようで、実際にフォント化する際に参考に出来たのは1894年にフランスの美術大学の図書館用に改めて刷られたものであったようです。

1890年頃といえば、フォトグラビュールを筆頭とする写真技術を応用としたオフセット印刷やグラビア印刷が活版印刷に取って代わろうとしていた頃ですし、このような装飾書体は当時でさえも、既に、まとめに入るくらいには美術的な意味での発展は望めず完成に至っていたのかもしれません。ただ、現代でも物理版を基本とする活版印刷や箔押しにおいて、このようなフォントへの装飾の手引きとしては勉強するにはとても良い教材であるし、筆を滑らして描いた絵では無い『版』を押す事を前提とした、それは単に装飾活字である状態よりも、文字と寄り添う装飾を学ぶには貴重な資料であると感じています。また、これをフォント化したのは、その意味が何よりも大きかったからかもしれません。もちろん使用する事での美しさを謳歌するのも素敵な事なので、是非楽しんでいただけるかと思います。


この記事で使用している花形装飾活字のデータはオンラインショップ「LIGHTHOUSE TYPE FOUNDRY」で購入ができます。是非、この機会にご高覧いただけましたら幸いです。

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花形装飾活字を愛でる第14回「マスキングテープ」

LIGHTHOUSE TYPE FOUNDRYの装飾活字データを使用したマスキングテープ
design fengfeeldesign ( http://fengfeeldesign.org )
print cosmotech (http://blog.livedoor.jp/cosmotech_no1/)

装飾活字とテープとの相性はとても良く、手間をかけずとも美しく仕上げる事が出来ます。罫線としての機能や反復の配置に長けている事が、とても有利に働くようです。既に美術が仕上がっていて、すぐに製品レベルのものに達しますので、予算が限られていたり、またはプロジェクトに時間が無い時に、ブランドアイテムやオリジナルアイテムの販売をしなくてはならない場合にも対応出来ます。

過去にも様々なオリジナルブランドのアイテムとして製作され販売が行われました。また、これからも使われていくことを願っております。


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花形装飾活字を愛でる第13回「ハンドメイドイベントへの活用」

ハンドメイドイベントなどで使われる値札の一例

東京ビッグサイトで開催されるデザインフェスタや名古屋でのクリエイターズマーケットに代表されるハンドメイドイベントでLIGHTHOUSE TYPE FOUNDRYの装飾活字を値札や什器、作品のモチーフから、商品そのものへ活用していただいていたりなど、幅広く利用していただいております。もともと、装飾活字自体が主役になるというよりかは、何かを飾る為に作られた美術なので、販売している作品や世界観にマッチしそうであれば、是非、積極的に使っても良いかと思います。

1080種類の角の装飾をパレットのように使えるkado the 108Z
kado the 108Zを使用した値札の一例

とくに使われているのが「kado the 108Z」に連なるシリーズです。角に装飾を置くだけで簡単に美しく値札が作れるのが選ばれる理由のようです。「kado the 108Z」は紙面の角を彩る装飾を200年〜100年ほど前の過去の資料から抜粋し、1つずつを手描きでサンプリングとリミックスを行い、アドビのイラストレーターでアウトライン化したデータです。

その装飾の数は1080個におよび、3種類のサイズで展開します。3種類のサイズは組み合わせる事が出来るように一定の比率で仕上げています。

動作確認用の無料体験版「kado the 9

また、このシリーズには動作確認用の無料体験版「kado the 9」もありますので、一度、アドビのイラストレーターで体験していただけましたら幸いです。また、このシリーズに関しては「SVG」ファイルも同梱していますので、アドビのイラストレーターだけでなく、クリスタや3Dソフトなどでもご利用いただけます。


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花形装飾活字を愛でる第12回「テクスチャーパターンだって作れる」

PRINTERS’FLOWERS from エンスヘデ活字鋳造所でテクスチャーのパターンを作った

PRINTERS’FLOWERS from エンスヘデ活字鋳造所を扱えば、簡単にテクスチャーパターンを作る事が出来ます。枠だけではなく、こういった純粋に模様を構成しても美しいかと思います。また、こういったパターンテクスチャーを制作する際にはアドビのイラストレーターを使えば、コピーアンドペーストや整列が簡単に行えるので、自分の目的に合ったイメージに近付けれるとともに、その作業時間も短く出来ます。

配色すると華やかになる

白黒だけではなく、配色する事で華やかな印象になります。これもまた、アドビのイラストレーターを使用すれば、グループ化の機能や色味であったりなど、様々な機能が活用出来ます。

花形装飾活字を利用して制作したマスキングテープ

マスキングテープなどの製品開発でテクスチャーパターンを作成するとしても、商品レベルのものであっても、花形装飾活字を活用すれば、かなりの時間短縮が計れますし、美しい仕上がりになります。

また、例えば、SUZURIboothsociety6のようなサービスを利用すれば、オリジナルグッズもすぐに出来上がりますので、自分の欲しいものを気軽に作ってみても良いかもしれません。


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花形装飾活字を愛でる第11回「モチーフを考えてから構成する」

建築物をモチーフ

アドビのイラストレーターで編集を行うことで複雑な構成の枠を作成する事が出来ます。また、構成する際に、例えばPRINTERS’FLOWERS from エンスヘデ活字鋳造所は1891年に公開された組見本に掲載していた装飾活字なのですが、活版印刷のみならず、金属工芸品などに元々はヨーロッパで広く使われていた美術でもあるので、当時の美術様式に思いを馳せながら、上記の例のように建築物を創造しながら組んでみても良いと思います。このようにモチーフを予め予習しておいて取り組む事で、単に何も考えずに並べるよりも、より世界観みたいなものが広がるように思います。とくにこのPRINTERS’FLOWERS from エンスヘデ活字鋳造所に関して言えば、歴史を感じる、少し古い様式美の1つなので、よりそのように感じるのかもしれません。

建築物をモチーフにした
庭園をモチーフにした
星空をモチーフにした
シャンデリアをモチーフにした

歴史的な知見からものでも良いと思いますし、抽象的なものから風景的なものまで、その想像力と道具(装飾活字)との相性さえ合致さえすれば、とても美しく成立します。もちろんモチーフが無くても、何かをただ並べて綺麗というだけでも、それでも美しければ良いと思います。ですが、もし何か当てはまるものがあるのであれば、是非一度、モチーフを想像しながら構成してみても良いと思います。


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花形装飾活字を愛でる第10回「表彰状を作成する」

PRINTERS’FLOWERS from エンスヘデ活字鋳造所(1891)を使ってアドビイラストレーターで制作した表彰状の一例
PRINTERS’FLOWERS from エンスヘデ活字鋳造所(1891)を使ってアドビイラストレーターで制作した表彰状の一例

PRINTERS’FLOWERS from エンスヘデ活字鋳造所(1891)を使ってアドビイラストレーターで表彰状を簡単に制作する事が出来ます。様々な種類を並べてみたり、一定のパターンを形成して並べてみたりなど、作りたいビジュアルや、渡すシーンに合わせての制作が可能です。また、右半分と左半分を左右対称(シンメトリー)にする事で、制作時間の短縮が出来、表彰状の種類によってイメージを変えたりなどのハードルがグッと下がるかと思います。

シンプルに組み立てた一例

複雑なだけではなくシンプルに組み立てても絵になります。日本語でも英語でも関係なく丁寧に組み立てればイメージの違いは生じるものの素敵に仕上がります。


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花形装飾活字を愛でる第9回「組み合わせる」

同じ装飾を組み合わせるパターン一例

ほとんどの装飾活字は版同士の組み合わせによって成立します。またはその連続によって複雑で大きな紙面が構成出来ます。とくにこのPRINTERS’FLOWERS from エンスヘデ活字鋳造所(1891)に関しては、まずは同じパターンで色々組み合わせを試してみて、それぞれの特性を知っていくのが良いと思います。

複数の違う組み合わせのパターン一例
複数の違う組み合わせのパターン一例
複数の違う組み合わせのパターン一例

同じパターンで組み合わせを繰り返す事で、装飾の特性を知る事が出来たら、次に複数の版を様々なパターンで組み合わせてみてください。すると「使い勝手」がみるみると分かってくると思います。そうです、これは道具ですから、どんどん使って上手くなる事が大切です。

組み合わせを利用した紙面構成の一例
組み合わせを利用した紙面構成の一例

作り上げた組み合わせを今度は繰り返し配置して、紙面を作り上げてみてください。いかがでしょうか。思っていたより簡単に出来たのではないでしょうか。装飾活字は既に美術を仕上げてくれていますから、アドビイラストレーターのシンプルな機能だけで、とくに絵を描くデッサンの能力や才能といった特別な力は必要とせず、美意識や美術への興味と知識(歴史を含む)さえ持ち合わせていれば、誰でも扱う事が出来、美術の体験も齎してくれる、装飾活字はとても素晴らしい道具になる事でしょう。


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花形装飾活字を愛でる第8回「グラデーション」

アドビイラストレーターの機能を使ってグラデーションで配色した

アドビイラストレーターの機能を使えばグラデーションで配色が出来ます。グラデーションでの配色はとても綺麗ですし、強めのイメージを少し和らげる時にも十分に使えるかと思います。ここでポイントが1つあるのですが、オブジェクトのパーツをバラバラにグラデーションをするか、全体を1つとしてグラデーションをするかで、完成のイメージが変わります。前者であれば、よりグラフィック的で複雑な配色になり図案としての力強さが増すように思います。後者であれば、配色によっては印象を弱くしやすい傾向にありそうです。

オブジェクト毎にグラデーションを行った
全体で統一してグラデーションを行った。

このようにグラデーションの配色の仕方で大きくイメージが変わる事が分かります。またその全てをお見せする事は組み合わせが多い為に難しいのですが、一個ずつか全体か、の繰り返しで思考を巡らせるだけで、イメージはドンドンと広がりますので、是非試していただきたい技法です。ただし、印刷との相性としてはオフセット印刷くらいでしか活用出来ないのと、デジタル上の表示に限定されていく事になるので、そこだけは注意です。しかし、必ずしも物質化する必要が無くなった今となっては、これが完成のケースもある訳ですから、実現出来るのであれば表現としての捉えるのはとても素敵な事だと思います。


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花形装飾活字を愛でる第7回「直線の面と曲線の面」

PRINTERS’FLOWERS from エンスヘデ活字鋳造所(1891)には全ての版で直線の面と曲線の面が用意されている

PRINTERS’FLOWERS from エンスヘデ活字鋳造所(1891)の全ての版には直線の面と曲線の面が用意されています。これは組み上げる時に揃えた場合に単純に美しく仕上がるのと、外側と内側の概念が強まる為、より罫線、または枠として役割を強める結果となります。直線の面、曲線の面のどちらが外側でも内側でも、ケースに見合うビジュアル表現であれば自由にすればいいと思いますし、片側にその両方が混在していても面白そうです。

直線と曲線のパターンを意識して配置すると同じ版でも違ったイメージになる

ついつい、それ自体の模様の美しい曲線に目線を送りがちになってしまうのですが、こうやって、版という名の「ユニット」という単位で見た時の直線と曲線で組むと、より自然に扱う事が出来ます。また、そのような取り扱いがPRINTERS’FLOWERS from エンスヘデ活字鋳造所(1891)を使えたと言えるような気がします。美術は一定で作られているし、組み合わせ次第でランダムな模様が出来るように仕組まれていて、扱う我々が行う事というのは、このように道具としての花形装飾活字の扱いを深めていく事にあるように思います。そうする事で、見た目に複雑なパターン構成であっても、その実は簡単に自然に作業は進行しているもので、綺麗に組まれているなという印象の時、それは花形装飾活字に仕組まれた機能によるものである事がほとんどなのです。


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花形装飾活字を愛でる第6回「色を変える」

アドビイラストレーターの機能を使えば色を自由に変えられる

アウトライン化されたベクターデータを使用すれば、アドビイラストレーターで簡単に色を自由に変える事が出来ます。白と黒だけという印象の活版印刷の世界に彩りが追加されて、当時では難しかった新しい表現が広がります。色の付け方で華やかにも落ち着いた雰囲気にも出来ますので、それぞれに合った組み合わせで構築が可能です。

背景に色を加える事も出来る

今や、オフセット印刷が主流となりましたし、ベタにも耐えられる白い紙もとても綺麗なものが増えましたので、背景の色をセッティングすれば、また違った印象のビジュアルになります。

同じ装飾パターンで色を変えてみる

同じ装飾でパターンを作っておいて色を変えてやれば、同じ色だった時よりも、鮮やかな印象のビジュアルに変貌します。装飾にこうやって色を自由に付ける事が出来る事は、当時ではとても贅沢な加工であったと思いますし、今ではアドビイラストレーターを使えば簡単に綺麗に整列した組版に版の工程は意識せずとも、モニター上でこうやって、色の変化を目の当たりに出来る事は本当に凄い事であると思います。

白と黒で構成した場合
色を計画しセッティングした場合

今度はより複雑な組み合わせで色の変化を作ってみましたがいかがでしょうか。白と黒だけで表現した場合と、色を計画してセッティングした場合では、このようにとても印象が変わる事が分かります。

もちろんではありますが、白と黒が劣っている訳ではありません。これが使われる様々な用途で、そのどちらが正解かが決まるかと思います。ただ、こういった活版印刷を元にした美術にとって、色を加える事はとても贅沢な事なのです。色の数と刷りの回数は同じになりますから、それだけ手間とお金が掛かったはずです。また、技術的な観点から、色の再現にも限界があったと考えられます。現在では、オブジェクトの色は自由に決められて簡単な操作でその表現を広げる事が出来ますが、色を加える事への理由付けというか、単に変える事が出来るという無意識で配色するよりも、こうやって、技術的な背景があって、その考え方で変えていく事もまた、この花形装飾活字を扱う上でとても大切の一面であると思っています。


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